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多重経路散乱場

  • 岩川 幸揮
  • 5月24日
  • 読了時間: 2分

第6章|チャート分析と建築:空間の散乱と波の理論


― 可視化される波、反射する構造

── チャートは、空間にひろがる建築のもうひとつの形式である。

建築は通常、空間に実体として存在する。だが、チャートに浮かぶ波形もまた、空間的な構造を持つ。上昇と下降、反転と継続。そのリズムは、まるで階段や斜面、柱のように、空間を構築している。

ここに「多重経路散乱場理論(Multipath Scattering Field Theory)」を導入することで、チャートに建築的な次元が立ち上がる。散乱波は、価格の高値や安値に反射し、特定の構造(ダブルトップ、ボトムなど)を形成する。これらは、単なる指標ではなく、空間を構成する要素となる。

とりわけ1.618という比率──いわゆる黄金比──は、単なる美学的基準ではない。それは時間と空間を接続する階段やエレベーターのような構造的機能を持っている。比率によって定まるリズムは、波の変異点を導き、建築のフレームを与える。

水平線は波紋の投影にすぎない。本質は、その背後にある散乱の構造にある。波は空間を進むが、散乱され、反射され、干渉し、空間を再構築する。

こうした理論の中で、チャートは単なる「価格の図」ではなく、時間と価値が絡み合う非ユークリッド的な建築空間として読み替えられる。

エリオット波動理論において、1波から5波までの時間的長さや強度は、まさに建築的な**「構造体」**としての分析対象となる。その波の中に、私たちはフラクタルな反復、力学、空間的奥行きを見出す。

チャートとは、建築の別の名前かもしれない。目に見えない構造を、波として可視化する装置。それは、建物ではないが、建築の可能性を宿している。


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